「子供を授からないのはなぜだろう?」
この疑問を抱いたとき、多くのカップルは原因を知るために、婦人科を受診されると思います。
一般的には、先ずその原因を知るために、様々な不妊検査から開始します。
検査で原因を知ることは大切です。
しかし、検査を行なっている周期にも排卵があり、妊娠のチャンスは訪れます。
不妊検査のためにその周期のチャンスを逃がすのはもったいないと思いませんか?
1周期1周期のチャンスを大切に、各時期で行える検査を進めながら、できるだけ早く妊娠していただけるよう、初診の日から可能なサポートを開始する。
それが当院の診療スタイルです。
当院で治療されている多くの患者さんは体外受精治療まで進まれていますが、不妊検査、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療にも力をいれています。特に、タイミング法や人工授精においては、自然周期体外受精レベルに準じた的確なタイミングでの治療が可能です。
1周期1周期の治療を確実に進めていきたい方は、ぜひ当院にお越し下さい。
スタッフ一丸となり皆様の治療をサポートしていきます。
1.妊娠のしくみと各種検査
妊娠は多くの条件がそろって、はじめて成立します。
妊娠するためのステップを6つにわけ、それぞれの機能を調べる主な検査を紹介します。
2.男性側の不妊の主な原因
男性側の主な不妊の原因は
①造精機能障害 ②精路通過障害 ③性機能障害 と続きます。
①造精機能障害
造精機能障害とは、精子がうまく作られていない状態です。
精索静脈瘤といった原因がわかる場合もありますが、原因不明な場合が半分をしめます。
②精路通過障害
精路通過障害とは、精巣で作られた精子が精管を通してうまく運べていない状態です。
精管切除手術後(いわゆるパイプカット)の方や先天性精管欠損症の方などが当てはまります。
③性機能障害
性機能障害とは、勃起障害等で、射精が上手く出来ていない状態です。
3.男性側の検査と治療
男性側に不妊の原因があるかを知るために、先ず精液検査を受けて頂きます。
精液検査をすることで、精子の液量、濃度、奇形率、運動率などを知ることができます。
必要に応じてホルモン検査もさせて頂きます。
治療としては、ホルモン療法、内服治療、漢方治療などがあり、これらの療法により自然妊娠を期待します。
しかし、なかなか妊娠に至らない場合や奥様の年齢を踏まえ早期妊娠が望ましいと考えられる場合には、体外受精・顕微授精治療を提案させて頂きます。
精索静脈瘤、閉塞性無精子症の場合には、手術療法が有効な事がありますので、その場合には泌尿器科を紹介させて頂きます。
射精では精子が得られない場合でも、直接精巣から精子を採取することで運動精子が得られる場合もあります。
その際には、泌尿器科に依頼させて頂きますが、精巣精子採取法(TESE)等で得られた精子は凍結し、冷凍専用タンクで移送できますので、当院で体外受精を受けて頂くことが可能です。
4.女性側の不妊の主な原因
女性側の主な不妊原因を示します。
卵管通過障害、排卵障害、子宮内腔異常と続きますが、約半数の方は原因不明なのです。
検査で分かること
女性側の不妊の原因で ①卵管通過障害 ②排卵障害 ③子宮内腔異常 は検査である程度わかるものです。
①卵管通過障害とは
卵子と精子は卵管で出会います。
しかし、卵管が詰まっている(閉塞)、一部細くなっている(狭窄)と卵子と精子が上手く出会えません。
卵管通過障害を引き起こす主な原因は、クラミジア感染や子宮内膜症の存在です。
卵管の状態を調べる検査には、造影剤を使用してレントゲン撮影を行い調べる方法と、卵管に空気と水を通しながら超音波で確認する方法があります。
②排卵障害とは
女性の身体では、各自が持つホルモンが作用し、1周期に1個の卵子が成熟し自力で排卵します。
しかし、小さな卵胞が多数できてしまい、自力排卵がなかなか出来ない多嚢胞性卵巣の方、卵胞の発育を促すホルモンが上手く分泌できない下垂体機能障害の方、排卵する卵子そのものがかなり減っている卵巣機能不全の方などは、排卵障害があると言えます。
これらは、超音波検査とホルモン検査を組み合わせて行うことで診断が可能です。
③子宮内腔異常とは
卵子と精子が上手く出会い、受精した卵子は受精卵となり子宮内に着床します。
しかし、子宮内にポリープや筋腫などのできものがあると、受精卵の着床を妨げてしまいます。
また、子宮奇形(中隔子宮、双角子宮など)の存在も受精卵の着床を妨げる原因になります。
これらは、超音波検査や子宮卵管造影検査などで診断が可能です。
検査で分からないこと
女性の不妊の原因で、約半数を占める 原因不明 は、検査ではわからないものと言うことになります。
原因不明不妊で考えられることとして、①卵管のピックアップ機能 ②卵子の質 ③受精障害 が挙げられます。
①卵管のピックアップ機能とは
排卵した卵子は、卵管の先の手のような部分(卵管采と呼ばれます)でキャッチされ、卵管の中に取り込まれます。
このキャッチする能力のことをピックアップ機能と呼びます。
毎回ちがう場所から排卵する卵子をキャッチする能力、ピックアップ機能について、現在の医学では検査で調べることは出来ません。
②卵子の質について
卵子の元になる原始卵胞は、女性が胎児期のうちに一生分が作られ、出生後に新しく作られることはありません。
そのため、年齢とともに卵子は減り、作られてから排卵するまでに年数がかかった卵子の質は、低下していると考えられます。
実際、赤ちゃんとしてこの世に生まれうる可能性のある卵子が存在するかどうかは、体外受精で実際に卵子を取り出してみない限りわかりません。
③受精障害について
精子の問題や卵子のまわりにある殻(透明帯)などの問題で、自然には正常受精が成立しない場合があります。
これは、実際体外受精を行ってみて、初めてわかる事です。
受精障害があるとわかった場合には、顕微授精で治療をします。
5.当院で行える女性側の検査
基礎体温の確認
基礎体温表をつけていらっしゃいますか?
基礎体温表だけを見て排卵日を正確に知ることは難しいですが、排卵そのものの有無や黄体機能を把握するのには役立ちます。
まだ基礎体温表をつけていない方は、明日からで良いのでぜひつけて下さい。
超音波検査
超音波は、ものに当たると反射(エコー)する性質を持っています。
その性質を利用して、卵巣や子宮の様子をモニターに映しだして確認する検査です。 この検査により、卵巣については卵胞の発育状態や卵巣腫瘍の有無を確認できます。
卵胞の発育状態を確認することは、不妊治療をしていく上でとても大切です。
卵巣腫瘍は、治療が必要な場合もあれば、経過観察で大丈夫な場合もあります。
子宮については子宮そのものの形状、子宮筋腫や子宮内膜ポリープの有無、子宮内膜の状況が確認できます。
子宮の形状を知ること、子宮筋腫や子宮内膜ポリープの有無を確認しておくことは、今後の妊娠を継続する上でも大切です。
場合によっては、妊娠する前に治療が必要な場合もあります。
子宮内膜は、受精卵が実際に着床する場所で、毎周期、状況が異なりますので確認が必要です。
ホルモン検査
人間の身体からは、様々なホルモンが分泌されています。
不妊治療をする上で、よく検査するホルモンは、卵胞ホルモン(エストロゲン(E2))、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、黄体ホルモン(プロゲステロン(P4))です。
卵胞ホルモン(E2)は卵巣から分泌されるホルモンで、卵胞が成熟してくると値が上がります。
卵胞刺激ホルモン(FSH)は脳下垂体から分泌されるホルモンで、卵胞ホルモン(E2)や黄体ホルモン(P4)の分泌を促し、卵胞を成熟させてくれます。黄体化ホルモン(LH)も脳下垂体から分泌されるホルモンです。卵胞ホルモン(E2)の分泌量がピークに達すると分泌され、成熟した卵胞は刺激され、排卵がおこります。黄体ホルモン(P4)は卵巣から分泌されるホルモンで、卵子が出て行った後(排卵後)の卵胞が黄体化し値が高くなります。黄体ホルモン(P4)が、子宮内膜に働きかけ、受精卵が着床できる準備がすすみます。
これらのホルモン検査を通して卵胞の発育状態や排卵の時期を正確に判断する事が、より確実に妊娠するためにはとても重要です。そのために当院では、最新の検査装置を導入し、正確かつ短時間(約30分)で検査結果が出るようにしています。
ヒューナーテスト
女性のからだは、排卵日が近づくと頚管粘液が増え、精子を受け入れやすい状態になります。そのような時期に、この検査を行います。
排卵日が近づいた検査当日の朝や前日の夜に夫婦生活を持ち、受診していただきます。
子宮頚管粘液、子宮内容液を採取します。それぞれに精子が到達しているか、きちんと運動しているかを確認します。
きちんと運動している精子が確認できた時は、当然妊娠する可能性があります。
精液検査ではきちんと運動している精子が多く見られても、女性の体内に入ると動かなくなる場合もあります。
子宮卵管造影検査
卵子と精子が出会うためには、卵管は重要な場所です。
自然妊娠可能か、一般不妊治療可能かを判断する上で、卵管が詰まっていないか、狭くなっていないかを確認することは大切です。
検査の方法には、子宮内に造影剤を注入し、レントゲン撮影する方法と専用の器具を用いて卵管に空気と水を通しながら超音波で確認する方法があります。
(レントゲン撮影する方法は、提携施設にて実施します。)
また子宮の奇形や子宮筋腫、ポリープの有無も一緒に確認することが出来ます。
クラミジア検査
卵子と精子が出会うためには、卵管は重要な場所です。
自然妊娠可能か、一般不妊治療可能かを判断する上で、卵管が詰まっていないか、狭くなっていないかを確認することは大切です。
検査の方法には、子宮内に造影剤を注入し、レントゲン撮影する方法と専用の器具を用いて卵管に空気と水を通しながら超音波で確認する方法があります。
(レントゲン撮影する方法は、提携施設にて実施します。)
また子宮の奇形や子宮筋腫、ポリープの有無も一緒に確認することが出来ます。
6. 当院での治療の流れ
当院での治療の進め方をご紹介します。
まず、ヒューナーテストを行います。
ヒューナーテストでは、排卵日が近づいた検査当日の朝や前日の夜に夫婦生活を持ったあと受診していただき、子宮頚管粘液および子宮内容液を採取し、きちんと運動している精子が存在するかを確認します。
「運動精子が子宮内に入っている=タイミング法で妊娠できる可能性がある」ということになります。
【タイミング法で治療開始】
タイミング法では、超音波検査とホルモン検査を併せて実施し、排卵時期をきちんと見定め、ご夫婦関係を持っていただくベストなタイミングを決めていきます。黄体機能不全がある場合には、排卵後に黄体ホルモンを補充していきます。
卵管などに特に問題がなく、良好卵がベストなタイミングで排卵し、ヒューナーテストが良好である場合には、5~6周期で妊娠できることがほとんどです。
「運動精子が子宮内に入っていない=タイミング法で妊娠できる可能性が低い」 ということになります。
【人工授精で治療開始】
人工授精では、超音波検査とホルモン検査を併せて実施し、排卵時期をきちんと見定めます。
排卵時期に合わせて、ご主人様に専用の容器に精子を採取していただきます。精子は雑菌などを取り除くために洗浄し、その後濃縮して良好な運動精子を集め、子宮内に注入します。
黄体機能不全がある場合には、排卵後に黄体ホルモンを補充していきます。
卵管などに特に問題がなく、良好卵がベストなタイミングで排卵していれば、5~6周期で妊娠できることがほとんどです。
一般不妊治療であるタイミング法や人工授精の治療でも、当院では毎回のホルモン検査と超音波検査を実施していますので、より確実な排卵時期を確認しながら治療を進めることが可能です。
(1周期の平均通院回数は2~4回程度です)
5~6周期の治療をしてもなかなか妊娠に至らない場合には、それ以上の回数を重ねても良い結果にはつながらないと考えていますので体外受精をお勧めします。
一般不妊治療においても
「可能な検査をし、原因を探しながら、1周期1周期を無駄にする事なく確実に治療していく。それが妊娠への近道です。赤ちゃんを抱く日を目指して、私たちと一緒に頑張りましょう。」